歯科の「無痛治療」は痛みゼロではない|”無痛”の本当の意味を歯科医師が解説

※この記事は一般的な情報の提供を目的としています。麻酔の効き方や痛みの感じ方には個人差がありますので、詳しくは担当の歯科医師にご相談ください。
- 「無痛治療」と聞いて、まったく痛くないと思っている方
- 歯科の麻酔の注射が苦手・怖い方
- 痛みが不安で、歯科受診をつい後回しにしてしまう方
「無痛分娩」の呼び方を変えよう、という動き
先日、「無痛分娩」という呼び方を見直そうという話題がニュースになりました。日本麻酔科学会が、「無痛」ではなく「鎮痛」という言葉を使った名称を提案している、というものです。
背景にあるのは、「無痛」という言葉が生む誤解です。「無痛」と聞くと、痛みが完全にゼロになると期待してしまう方もいます。しかし実際には、何らかの痛みをともなうことがほとんどです。その「期待とのズレ」から、出産後にトラブルにまで発展するケースもあるといいます。
言葉のもつイメージと、実際の中身との間にギャップがある——実はこれ、私たち歯科の世界にもまったく同じことが言えます。
歯科の「無痛治療」も、同じ誤解を招いている
歯科医院でもよく「無痛治療」という言葉が使われます。そして「無痛治療=まったく痛くない、痛みがゼロ」と受け取っている方が、とても多いのが実情です。
「無痛治療をうたっているのに、麻酔のときにチクッとした。話が違う」——そう感じてしまう方がいるのは、まさに無痛分娩と同じ構図です。しかし、これは「無痛治療」の本当の意味とは少し違います。
「無痛治療」の本当の意味

無痛治療とは、治療をしているあいだ、痛みを感じずに受けられるようにすることです。
そのために何をするかというと——しっかりと麻酔をします。むし歯を削る、歯の神経を扱う、抜歯をする。こうした処置を痛みなく進めるために、麻酔は欠かせません。
つまり、無痛治療でも麻酔は当然おこないますし、麻酔をするときの痛み(針を刺す・薬が入るときの感覚)はゼロではありません。ここがいちばん誤解されているところです。
| よくある誤解 | 本当の意味 | |
|---|---|---|
| 無痛治療とは | 麻酔の注射も含めて一切痛くないこと | 治療中に痛みなく処置を受けられること |
| 麻酔は | しない/痛くないのが前提 | しっかりする(麻酔時の痛みは最小限にする) |
「麻酔を痛くなくすること」が無痛治療ではありません
「麻酔の注射そのものが完全に痛くないこと」を無痛治療だと思っている方が少なくありません。ですが、それは無痛治療の本質ではありません。大切なのは、治療中に痛みを感じないようにするという、無痛治療の本来の目的です。
当院は「できるだけ痛くない麻酔」を追求しています

左京山歯科・矯正歯科クリニックでは、麻酔のときの痛みを一人でも多くの方に和らげられるよう、歯科医師が日々技術を研鑽しています。「麻酔=痛いもの」と思われがちですが、方法や手順を丁寧に工夫することで、痛みは大きく減らせるからです。
具体的には、次のような配慮をしています。
- 表面麻酔:注射の前に歯ぐきの表面に麻酔のジェルを塗り、針を刺すときのチクッを和らげます
- 細い針を使う:針が細いほど刺入時の刺激は小さくなります
- 麻酔液を温める:体温に近づけることで、注入時の違和感を軽減します
- ゆっくり注入する:一定の速さでゆっくり入れることで、圧による痛みを抑えます
- 刺す位置・角度の工夫:痛みを感じにくいところから少しずつ効かせていきます
これらを組み合わせることで、「思っていたより全然痛くなかった」と感じていただける方が多くいらっしゃいます。それでも「チクッ」がゼロになるわけではない——この点だけは、正直にお伝えしておきたいと思います。
痛くなってからでは、麻酔が効きにくくなります

もう一つ、とても大切なことをお伝えします。それは、強い痛みが出てから来院すると、麻酔が効きにくくなるということです。
歯がズキズキと痛む状態は、多くの場合、内部で炎症が強く進んでいます。炎症が強い部分は麻酔が効きにくく、さらに麻酔の注射そのものも痛みを感じやすくなります。つまり、痛みを我慢して限界まで放置してから来院すると、いちばん「無痛治療」が難しい状態になってしまうのです。
だからこそ、痛くなってから慌てて来るのではなく、痛くなる前に受診していただくことを強くおすすめしています。しみる・違和感がある、といった軽いサインの段階なら、炎症も軽く、麻酔もよく効き、痛みの少ない治療ができます。
歯医者嫌いの「悪循環」を断ち切りましょう

歯科が苦手な方ほど、実は次のような悪循環に陥りがちです。
- 歯医者が嫌いで、行きたくない
- 我慢して、痛くなってから受診する
- 炎症が強く麻酔が効きにくいので、治療中も痛い思いをする
- 「やっぱり歯医者は痛い」と、ますます嫌いになる
- また痛くなるまで行かない……(1に戻る)
このループが続くほど、歯の状態も、歯医者への苦手意識も悪くなっていきます。
この悪循環を断ち切るカギが、「痛くなる前に、定期的に受診する」ことです。痛みのない状態で通えば、治療も軽く済み、麻酔もよく効き、「歯医者=痛い場所」というイメージそのものが変わっていきます。定期検診で早めに問題を見つけられれば、そもそも麻酔が必要な治療自体を減らせます。
正しく知って、安心して治療を
「無痛」という言葉は魅力的ですが、その意味を正しく知っておくことで、治療への不安はぐっと減ります。麻酔のチクッとする一瞬はあっても、その先の治療は痛みなく受けられる——それが無痛治療です。
まとめ
・「無痛治療」は”痛みゼロ”ではなく、”治療中に痛みを感じないようにする”こと
・そのために麻酔はしっかり行う(麻酔時のチクッはゼロにはできない)
・当院は、できるだけ痛くない麻酔を目指して歯科医師が研鑽している
・炎症が強い=痛くなってからの受診は、麻酔が効きにくく痛みも出やすい
・「痛くなる前の受診」で、歯医者嫌いの悪循環を断ち切れる
痛みが苦手な方こそ、我慢せず、痛くなる前にご相談ください。麻酔の効き方には個人差もありますので、一人ひとりに合わせて丁寧に進めていきます。「痛いのが怖くて歯医者を避けてきた」という方も、まずはお気軽にお声がけください。
左京山歯科・矯正歯科クリニック|名古屋市緑区左京山449 TEL:052-623-3300


















