歯の豆知識ブログ

こんにちは、名古屋市緑区の左京山歯科・矯正歯科クリニックの院長の宮崎です。

虫歯とは、口腔内の歯垢（プラーク）中の虫歯菌が、食べ物の「糖」を代謝して産生する「酸」によって、歯の表面のエナメル質からミネラル成分である「リン酸カルシウム」が溶け出す「脱灰」を起こし続けることで、虫歯菌がエナメル質から歯の内部へと進行していく疾患です。虫歯治療は、歯質に見られる虫歯の箇所を残らず削り取り、詰め物や被せ物などの補綴物であいた穴を塞ぐ処置をおこないますが、虫歯の治療においては保険が適用されるため、レジン（プラスチック）や銀歯などの素材を使用するのが一般的です。ただし、保険が適用される素材は審美性が高いものとはいえないため、近年では審美面から保険適用外の素材を選択する方も多くなっています。虫歯治療に保険適用外の素材を使用することは、審美面だけでなく衛生面などにおいても良い影響を与えるのです。

保険が適用される素材　

初期段階の虫歯治療は、レジンを使って補綴治療をおこなうことが可能です。レジンは白色の素材であることから目立ちにくいです。ただし、レジンは水分を吸収しやすい素材であるため、経年劣化によって擦り減ったり変色を起こしてしまいます。また表面に傷が付きやすく、毎日の歯磨きや食事などによって微小な傷が付くと、その部分に細菌や汚れが溜まってしまい虫歯や歯周病のリスクが高くなります。さらに噛み合わせが悪かったり、歯ぎしりや食いしばりなどの癖がある場合、使用する箇所によっては破損することがあります。他の保険適用素材として「銀歯」があり、強度が強く奥歯などに使用されることが多いです。しかし、銀歯は金属アレルギーを引き起こしたり、長期間使用することで唾液の成分により金属イオンが歯茎に溶け出し黒ずんでしまう「メタルタトゥー」を起こす恐れがあります。審美面においても口腔内で銀歯は目立ってしまうため、審美性を損なう要因になるだけでなく、口元がコンプレックスになる場合もあり、心の健康にも影響を及ぼす可能性も考えられます。

審美性の高い虫歯治療とは

保険が適用される虫歯治療は、審美面においては決して優れているとはいえません。高い審美性を考慮した虫歯治療には、「セラミック」の素材を使用した治療が良いといえます。セラミックは保険適用外の素材になりますが、天然歯のように白く透明感があり、経年劣化に伴う変色も起こらないことから、美しい口元を再現・維持することができます。また表面が滑らかに作られているため、歯垢などの汚れが付着しにくい傾向があります。さらに「CAD/CAMシステム」を使用することにより、歯との適合精度を大きく高めることが可能なので、歯と補綴物の段差が小さくなり、清掃もしやすく虫歯の再発リスクの軽減にも繋がります。セラミックは金属を一切使用していないので、銀歯のように目立つことがなく、金属アレルギーの方も安心して使用できます。

セラミックの一種である「ジルコニア」を使用した虫歯治療も、審美性の高い治療といえます。ジルコニアは人工ダイアモンドとしても利用される素材で、セラミックの素材の中でも特に強度に優れているため、奥歯にも問題なく使用することができます。現在では、混ぜ物を使用していない「100％ピュアジルコニア」を活用されている歯科医院も増えています。かつて欠点とされていた色調の再現性においても、自然な透明感と美しい色調を再現することが可能です。

他にも、前歯が虫歯になった際には、「メタルボンド」を使用することも良いでしょう。メタルボンドは金属を外側からセラミックで補強したもので、丈夫で割れにくい特徴があります。天然歯のような白さを再現しやすく、変色も起こりにくいという特色を備えています。ただし、金属アレルギーのある方は使用できません。また、長期間使用することで金属イオンが溶け出し歯茎が黒ずむ「メタルタトゥー」を起こす可能性もあります。

まとめ

人の見た目の印象を決める上で、口元は大きく見た目を左右する部分であるといわれています。そのことから、口腔内に銀歯があったり歯が黄ばんでいることで、見た目の印象を悪くしてしまう可能性も考えられます。しかし、日本の歯科治療は保険が適用されることから、現在でも費用を抑えることができる保険適用素材は多く使用されています。また、虫歯になる前に歯科医院で予防するという「予防歯科」の概念もまだ一般的に普及していないため、虫歯が進行してから治療を受ける方も少なくありません。もしも虫歯が進行してしまい、どうしても歯を削り補綴治療が必要になった場合には、保険適用外になりますが審美性が高く予後も良好なセラミックの素材を使用することを検討してみるのはいかがでしょうか。