だらだら食べが一番こわい|おやつの「選び方」より大切な「食べ方」

「むし歯になりにくいおやつはありますか?」
診療室でよくいただくご質問です。保護者の方が、お子さんのためにと真剣に考えてくださっているのが伝わってきます。

もちろん、おやつの「種類」も関係します。けれども、実はそれ以上に大きく影響するものがあります。
それは「食べ方」、もっと言えば「1日に何回、お口に入れているか」です。
同じおやつでも、食べ方によってむし歯のリスクは変わってきます。そして、ここは今日からでも見直せるところです。今回は、お口の中で起きていることを知りながら、無理なくできる工夫をご紹介します。
こんな方におすすめの記事です
- お子さんのおやつについて悩んでいる保護者の方
- 「甘いものを控えているのに、むし歯になる」という方
- 仕事中、デスクでお菓子をつまむ習慣がある方
- ペットボトルを置いて、少しずつ飲む習慣がある方
- 仕上げ磨きはがんばっているのに、むし歯ができてしまう方
お口の中では、食べるたびに「溶けて、戻る」が起きています
まず、お口の中で何が起きているかをお話しします。
食べものや飲みものが入ると、お口の中にいる細菌がそれをもとに酸をつくります。この酸によって、歯の表面からカルシウムなどが少しずつ溶け出します。これを脱灰(だっかい)といいます。
ですが、ここで終わりではありません。しばらくすると唾液が酸を薄め、中性に戻してくれます。そして唾液に含まれる成分が、溶け出した分を歯に戻していきます。これを再石灰化(さいせっかいか)といいます。
お口の中では、この「溶ける」と「戻る」が毎日くり返されています。何も食べていない普段のお口は中性に保たれていて、食べたり飲んだりするたびに、一時的に酸性へ傾くとお考えください。

むし歯は、このバランスが崩れたときにできていきます。つまり、溶ける時間が長く、戻る時間が足りない状態が続いたときです。
「何を食べるか」より「何回食べるか」

ここが今日いちばんお伝えしたいところです。
酸性に傾いたお口が中性に戻るまでには、ある程度の時間が必要だといわれています。おやつを食べ終わってすぐ元に戻るわけではありません。
ということは、どうなるでしょうか。食べる回数が増えるほど、酸性でいる時間が積み重なっていきます。そして唾液が修復する時間が足りなくなります。
具体的に考えてみましょう。
Aさん:3時におやつを15分で食べ終える
酸性に傾くのは1回。そのあとは、長い時間をかけて唾液が修復にあたれます。
Bさん:同じ量のおやつを、少しずつ3時間かけて食べる
食べるたびに酸性に戻されるため、お口の中はほとんど修復の時間を持てません。
食べている量は同じでも、お口にとっての負担はまったく違います。
「甘いものは控えているのに、むし歯ができてしまう」という方の中には、量ではなく回数が多いケースが少なくありません。
見落としがちなのが「飲みもの」

おやつには気をつけていても、飲みものは見落とされがちです。次のような飲みものは、糖分を含んでいることがあります。
- ジュース、乳酸菌飲料
- スポーツドリンク、エナジードリンク
- 砂糖入りのコーヒー・カフェオレ・ミルクティー
- 砂糖入りの炭酸飲料
これらを机に置いて少しずつ飲むのは、だらだら食べと同じ状態をつくります。お口の中は、ずっと酸性のままです。
水やお茶(無糖のもの)であれば、この心配はほとんどありません。普段の水分補給は水やお茶を基本にして、甘い飲みものは「食事やおやつのときに一緒に」とすると、お口が休まる時間をつくれます。
寝る前は特に注意していただきたい時間帯です。眠っているあいだは唾液の量が減るため、修復の力が弱まります。寝る前の甘い飲みものは、できるだけ控えていただくと安心です。
時間を決めると、ぐっと楽になります

では、どうすればよいのでしょうか。おすすめは「時間を決める」ことです。
- おやつは1日1〜2回、時間を決めて
- ながら食べ(テレビ・スマホを見ながら)を減らす
- 食べ終わったら、水やお茶を一口飲む
- 食事と食事のあいだに、お口が休まる時間をつくる
「禁止」ではなく「時間を決める」だけ、というのがポイントです。おやつを取り上げる必要はありません。お子さんにとっても、大人にとっても、続けられることのほうが大切です。
食べ終わったあとに水やお茶を飲むだけでも、お口に残った糖分を流し、酸を薄めることにつながります。歯みがきができない場面でも取り入れやすい方法です。
おやつを選ぶときのヒント
回数を整えたうえで、選び方にも少し目を向けてみましょう。
お口に残りにくいもの
ゼリー、ヨーグルト、果物、おにぎり、ふかしいもなどは、比較的早くお口から消えていきます。
気をつけたいもの
キャラメル、グミ、ソフトキャンディなど歯にくっつきやすいものや、飴のように長い時間なめ続けるものは、お口の中に留まる時間が長くなります。
ただ、これらを「食べてはいけない」というわけではありません。食べるのであれば時間を決めて、そのあと水を飲む。それだけでも違ってきます。
一緒に飲むものを選ぶなら
おやつと一緒に飲むなら、水・お茶・牛乳が安心です。牛乳には糖分が含まれますが、だらだら飲まずに、おやつや食事のときに一緒にとるぶんには大きな心配はいりません。
食べたあとの歯みがきは、いつすればいい?
「食べたらすぐ磨いたほうがいいですか?」というご質問もよくいただきます。
基本的には、食事やおやつのあとに磨いていただいて問題ありません。ただし、レモンや炭酸飲料、スポーツドリンクなど酸味の強いものを口にした直後は、歯の表面が一時的にやわらかくなっていることがあります。その場合は、まず水やお茶で口をゆすぎ、少し時間をおいてからやさしく磨いていただくと安心です。
また、外出先などで磨けないこともあります。そんなときは水を一口飲む、うがいをするだけでも違います。「磨けないから何もしない」ではなく、できることをしていただければ十分です。
お子さんの場合は、寝る前の仕上げ磨きをいちばんていねいに。日中は多少ざっくりでも、夜にしっかり落とせていれば、お口が休まる長い時間を確保できます。
大人こそ、気づきにくいかもしれません
ここまでお子さんの話が中心でしたが、大人も同じです。
- デスクの引き出しにお菓子を入れて、仕事中につまむ
- 甘いコーヒーを少しずつ飲みながら作業する
- 口さみしくて、飴をなめ続ける
心当たりはありませんか。大人の場合、食事の時間は規則正しくても、そのあいだの「ちょこちょこ」が多くなりがちです。
ご自身では「大した量ではない」と感じていても、お口にとっては回数が問題になります。一度、1日のうち何回お口に何かを入れているか、数えてみていただくと気づきがあるかもしれません。
まとめ

- お口の中では、食べるたびに「溶ける」と「戻る」がくり返されています
- むし歯は、溶ける時間が長く、戻る時間が足りないときにできていきます
- そのため、量より「回数」が大きく関わります
- 同じおやつでも、15分で食べるのと3時間かけて食べるのでは負担が違います
- 甘い飲みもののだらだら飲みも、同じ状態をつくります
- 禁止ではなく、時間を決めることから始めてみてください
- 食べ終わったら水やお茶を一口飲む、だけでも違います
おやつは、お子さんにとっても大人にとっても楽しみのひとつです。取り上げるのではなく、お口が休まる時間をつくる。そんなふうに考えていただけたらと思います。
名古屋市緑区の左京山歯科・矯正歯科クリニックでは、定期検診の際にむし歯のチェックだけでなく、食習慣や飲みものの習慣についてもお話をうかがっています。当院には管理栄養士も在籍しておりますので、「何を減らせばよいか分からない」「子どもが欲しがって困っている」といったお悩みにも、生活に合わせたご提案ができます。仕上げ磨きのコツとあわせて、お気軽にご相談ください。
左京山歯科・矯正歯科クリニック|名古屋市緑区左京山449 TEL:052-623-3300


















